「再発防止中」でも起きた保育園の虐待認定。家庭から確認したい3つの仕組み
「園は再発防止に取り組んでいるから、もう大丈夫」。そう信じたい一方で、安全対策を特定の職員や責任者だけに任せていないかは、家庭からも確認してよいことです。
佐賀県は2026年10月9日、県内の保育園で園長が園児の頬をたたいた行為を虐待と認定したと発表しました。報道によると、行為は9月30日に起き、園長本人が10月2日に県へ通報。園児にけがはなかったとされています。
この園では以前にも別の職員による虐待が認定され、再発防止に取り組んでいました。県は今回の認定を受け、10月9日付で調査を特別指導監査に切り替え、園の保育体制全般を調べる方針です。現時点で監査結果は公表されておらず、園全体の状況や刑事手続きの有無を推測することはできません。
「気をつけます」だけでは守り続けられない
再発防止を一人ひとりの心掛けだけにすると、忙しさや人間関係の中で機能しなくなることがあります。特に、相談を受ける立場の責任者自身が関係する場合、職員や保護者が園内だけで声を上げるのは簡単ではありません。
だから必要なのは、誰が担当でも同じように動く仕組みです。佐賀県の案内では、2025年10月1日の法改正後、保育所等で虐待を受けたと思われる子どもを発見した人には通報が義務付けられています。「確実な証拠がそろうまで黙っている」のではなく、疑いの段階から外部へつなぐ考え方です。
家庭から確認したい3つの仕組み
1.担任や園長以外にも相談できるか
園内の相談担当、運営法人、本部、自治体の保育担当など、複数の入口があるかを確認します。連絡帳だけでなく、メールや相談フォームなど記録が残る方法があると安心です。「誰に言えばよいですか」ではなく、「園長以外に相談したい時は、どこへ連絡できますか」と具体的に聞いてみましょう。
2.相談後の記録と報告の流れが決まっているか
いつ、誰が、何を確認し、保護者へいつまでに説明するのか。園に尋ねる時は、他の子どもの個人情報や詳しい被害内容ではなく、園としての手順を確認します。園内研修を実施したかだけでなく、抜き打ちの巡回、複数職員での保育、死角の確認など、日常の運用まで聞けると実態が見えやすくなります。
3.園外の通報先を家族も知っているか
自治体や都道府県には、保育所等の職員による虐待の通報窓口があります。地域によって担当部署名が異なるため、「保育所等 職員 虐待 通報窓口」と自治体名で確認し、連絡先を保存しておきましょう。今まさに危険がある時は110番、けががある時は医療機関の受診を優先します。
子どもの話は、聞き出すより受け止める
子どもが「先生が怖い」「行きたくない」と話したら、まず「話してくれてありがとう」と受け止めます。同じ質問を繰り返したり、答えを誘導したりせず、子どもの言葉をそのまま日付と一緒に記録してください。登園しぶり、睡眠、食欲、遊び方の変化も、決めつけずにメモしておくと相談時の助けになります。
家庭だけで真相を突き止める必要はありません。園に確認しにくい時ほど、外部窓口を使ってよいのです。子どもの安全を、保護者一人や誠実な職員一人の勇気に頼らない仕組みにしていきましょう。
出典
- 共同通信配信・熊本日日新聞「保育園長が頬たたく虐待、佐賀 県認定、園児けがなし」(2026年10月9日公表。行為は9月30日、県への通報は10月2日と報道)
- FNNプライムオンライン「唐津市の保育園で新たに虐待認定」(2026年10月9日公表。特別指導監査への切替日も10月9日)
- 佐賀県「保育所等の職員による虐待等に関する通報窓口」(2026年9月25日最終更新。通報義務は2025年10月1日施行の改正法に基づく案内)